OP-Z レビュー

OP-ZはTeenage Engineeringから2018年末に発売されたグルーブボックス系のシンセサイザー
8パートのサンプラーとシーケンサ、マスターのリバーブ 、ディレイを搭載しており、ひと通りの曲作りができる。

一番の特徴はiOSアプリをディスプレイとして使う前提で設計されている所。
単体でもアプリと同じ事はできるが、パラメータは暗記が必要となる。
また、もう一つの目玉機能としてVJ機能があり音楽とユニークなグラフィックが連動する。

細かい所を見ても特徴的で、
まず筐体の表面は流体的な模様が入っており、個体によって異なる。(削り出し筐体のためか?)
また、右上の四つのエンコーダは磁力で回転を検知するタイプで、回る部分はベアリングが使用されておりハンドスピナーのような操作感である。
更にUSB-TYPE Cのホスト機能があり、USBのmidiコンやDigitaktを直接繋ぐことができる。
発表から発売まで随分かかっていたが‪、それも納得の凝りようだ。
そして、チャレンジングな技術には不具合がつきものである。

筐体のそり
 プラスチック筐体でこの攻め攻めの薄さではそってしまうのは宿命か。そこまで酷くは無い

エンコーダの不具合
 ベアリングとベアリングの内側のプラパーツが分離して浮き上がってきてしまう。はめ込んでいるだけなので押し込めば治るが、磁力のせいでまた浮き上がってくる。グルーガンをごく少量つけてはめ込んだら再発しなくなった。

繋がったら繋がらなかったりUSB
 HOST機能としての使用は問題ないので困る事はほぼないが、ストレージモードが上手く行ったりいかなかったりする。ここは技術的にもかなり難しいので仕方がない。

VJ機能(videopaks)
 OP-ZのオシャレでカッコいいVJを見て心躍り、OP-Zを購入した方も多いだろう。私もその1人である。
しかし、蓋を開けてみるとオシャレでカッコイイVJはたった4種類しかなく、今後も増える兆しがない。1日で飽きてしまった。
ならば自分で作ろう!とUnityで何本か作成し、そして気がついた。このVJ機能はOP-Z本体でなくiOSアプリの機能であり、Unityで開発するためWindowsやMac向けにも出力でき、機器との通信はmidi信号でやり取りを行う。つまり、OP-Z使う必要は全く無いと言うことであった。むしろOP-ZアプリはUnityと互換性があまりなく、自由度が低い。現在はMC-101とパソコンで同じことが出来てしまっている。
ありがとうケンジローさん(videopaksの開発者さま)

プリセットが少なすぎる
 iPadアプリでプリセットのダウンロードができるのだが、20種類程度しかない。

パソコンの作業が多い
 サンプルを転送する事もできるが、パートごとに16個くらいまでなので、PCで厳選して送る必要がある。ドラムキットに至っては有志が作ったソフト(vst)を使う必要がある。
こんなんではPCでの作業が半分くらいを占めてしまう。せめてiPadにドドンと送って本体で試すとかできれば良かったかも。
本来は膨大なプリセットがあり、これだけで満足できるように、というコンセプトだったのかもしれない。

スピーカー
 POシリーズのスピーカーはなかなかの物だが、どうして一体 volcaとそう大差ないクオリティである。

それでも
 それでも、この小ささで、これだけ詰め込まれていれば十分ではないだろうか。このサイズ、電池駆動でシーケンサも操作しやすく、曲も作れて革新的だったと言える。
そして何より、グルーブギアの未来にワクワクと新たな可能性を示してくれたのだった。

コンペティター
 Roland MC-101
 Elektron Digitakt
 Elektron Model:Samples
 KORG ELECTRIBE S

OP-1との違い
 結論から言うと、OP-1は古典的シンセサイザーで、OP-Zは典型的グルーブボックスである。
私も両方触るまでよく分かってなかったが、OP-Zは廉価版OP-1ではなく、コンセプトが全く異なる。OP-1はあくまでminilogueとかJUNOのような純シンセサイザーであり、周辺機能としてアルペジエーターとMTR(TAPE)が付属する形。一方OP-Zはまずシーケンサーがあり、その上にサンプラーやエフェクターが乗っかっており、ElektribeSやDigitaktと同じ構成になっている。
 また、音源に関してもOP-1は減算、FM、物理を搭載し、よりどりみどりな音を単体で作り出せるが、OP-Zは面白みに欠けるサンプラーのみ。シーケンサについては、OP-Zはパターンベースで長尺のライブが可能であるが、OP-1のものは実質アルペジエーターであり、長尺の作曲に関しては内蔵MTRを使用する事となる。
 とはいえ最終的に長尺の作曲やライブはどちらでも出来る訳なので、最も大きな違いはOP-Zは音源が退屈である、という言う点かもしれない。

MZ-606

music & tech & synth

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